第19話
六波羅蜜とは、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧の六つのことで、 この六つを修めると、迷いのこの岸から、 さとりの彼の岸へと渡ることができるので、六度ともいう。 布施は、惜しみ心を退け、持戒は行いを正しくし、 忍辱は怒りやすい心を治め、精進は怠りの心をなくし、 禅定は散りやすい心を静め、智慧は愚かな暗い心を明らかにする。 布施と持戒とは、城を作る礎のように、修行の基となり、 忍辱と精進とは城壁のように外難を防ぎ、 禅定と智慧とは、身を守って生死を逃れる武器であり、 それは甲冑に身をかためて敵に臨むようなものである。 施した後で悔いたり、施して誇りがましく思うのは、最上の布施でない。 施して喜び、施した自分と、施しを受けた人と、 施した物と、この三つをともに忘れるのが最上の施しである。 正しい施しは、その報いを願わず、清らかな慈悲の心をもって、 他人も自分も、ともにさとりに入るように願うものでなければならない。
(第20話へ) 参考資料 仏教聖典 (淡路梅薫堂へ)